Triton

“クラシカル”クルーズ

トリトン(14,155t)は、ギリシャの海運会社エピロティキライン(1954年設立)が、ノルウエージャンクルーズから購入したクルーズ客船です。 エピロティキラインはサンラインクルーズ(1995年12月に両社合併してロイヤルオリンピッククルーズ→後にオリンピアクルーズと改称)と共に、ピレウスを起点としたエーゲ海の島を巡るカジュアルなクルーズを得意としていました。 クルーズはそれらの島々を巡るのに大変便利で、エーゲ海に浮かぶ小さな島を訪ねるには、中古の中型船をリメイクした同社の船隊は理にかなっていました。 しかし定期客船から転用の一部客船では、乗下船に長いタラップを昇り降りしなければならないのが難点でした。トリトンの前身は”キュナードアドベンチャー”という探検型のクルーズ客船でしたので、この心配はありませんでした。

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同社のクルーズは簡素な一方、船内ではギリシャ料理やローカルショーを楽しむことができました。'90年代半ばになると、アメリカ資本の大型客船が次々と地中海に進出し、ギリシャの船と競合しました。 地中海を知り尽くしたロイヤルオリンピッククルーズ(当時)は、”オリンピックエクスプローラー”と”オリンピックボイジャー”という画期的な2隻の大型高速客船をドイツで建造し、従来2週間を要したギリシャ、トルコ、イスラエル、エジプトを1週間で巡る斬新かつ魅力的なクルーズを試みました。 ところが、中東情勢の悪化とその後の9.11テロの発生で、これらの船はすっかり活躍の場を失ってしまいました。配船替えも試みましたが、うまくいきませんでした。 アテネオリンピックを控えた'03年12月、新造船の船主であるグループ会社2社が倒産し、”オリンピアカウンテス”を加えた3隻が競売に掛けられたのは大きな衝撃でした。

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