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July.30.2006

北航路”今昔物語”(2)

欠航証明書1983年9月1日大韓航空機撃墜事件発生!※1)マスコミは国境航路の第七宗谷丸(999t)などを取材、第五宗谷丸(790.78t)が慰霊に向かった。当時の利礼航路は最も大きなフェリーでもこの程度であった。
連絡船※2)は時化るとすぐ遅延、欠航し、冬季はとくに欠航率が高かった。
冬は流氷が宗谷岬を越え、稚内や香深の港を長期に亘って埋め尽くすこともあった。この頃友人は礼文島で缶詰めに遭い一週間を過ごし、自衛艦の先導のもと臨時運航された連絡船で抜海に脱出している。
流氷が来なくなったのは季節風の変化と言われているが、流氷は北の海を浄化する役目を果たしていた。
当時の国鉄は利礼航路の全便欠航があると周遊券の有効期間を延長したので、島に滞在中であっても欠航の知らせがあると窓口に行って証明書だけはもらった。
1984年4月、北航路用に耐氷設計された初の大型カーフェリー第十宗谷丸1,554tが就航し、2年後の5月には第十一宗谷丸1,982tが就航した。
礼文島の香深新港(現港)が完成したのは平成元年(1989)5月で、ニュー宗谷3,178tが就航して稚内-香深間の所要時分が短縮され1時間55分で結ばれた。同年7月、昭和海運のクルーズ客船”おせあにっく ぐれいす”(現クリッパー オデッセイ)5,218tが寄港した。のちには”サンシャイン ふじ”(後フィリピンに売船MABUHAI SUNSHINE)7,262tも着岸している。同船の全長は127mである。
昔の香深ターミナルは今では漁港専用となった市街地の漁協組合のまえあたりにあった。’87年9月までは北海商船が小樽から週3便、利尻・礼文島へワンナイトフェリーを運航していた。通称”おた丸”と呼ばれた537.8t(旧第一宗谷丸)の小柄な船体は波にもまれ木の葉のように揺れた。じつは本来のおたる丸(3代目1981年建造/998t)が経営悪化から規模縮小を余儀なくされ、第八宗谷丸として稚内~利礼航路に就いた。しかしこの処置は第十宗谷丸が就航するまでの1年(1983)限りで、その後小樽~利礼航路には東日本海フェリーより借り受けた第二宗谷丸(988t)が就航したが、’93年に航路廃止となった。
船泊にも1991年までのシーズン中1日1本の定期便があった。島の中ですることがないとき仲間を募り、まず金田岬にある礼文空港に行き当日の乗客の有無を確認し、定期便の離陸と同じ頃入港してくる連絡船を発見するや丘を駆け下り、タラップの装着に間に合わせ下船する乗客をカウントした。その礼文空港も2003年3月以降定期便が飛んでいない。
 
離島航路の車両航送運賃は割高であることから、1996年4月、稚内海運が関西カーゴアクセスより六甲エクスプレス(699t)を傭船、抜海~利尻・礼文島間の貨物船事業に参入したことが波紋を呼んだ。
LCCの先駆的存在であったが、関西カーゴアクセスの解散・精算に伴い存続を求める声から東日本海フェリーが自社船として購入、’00年後半よりリバティベルとして2007年の引退まで運航させた。
何故なら当時一般フェリーは危険物や大きな建設機械を搭載できなかったからである。
一方、東日本海Fはバイクを特殊手荷物として扱っており、貨物のみ扱うRORO船に載せることは疑問視され、六甲エクスプレスによるバイク運送は初年度のみで取り止められた。
 
東日本海フェリーのファンネル(煙突)と船首には、以前は丸に井の字のシンボルマークが入っていた。オーナーである蔦井家の家紋である。
長い間連絡船には乗船名簿があったが、船員法施行規則第12条の一部改正により、2004年4月1日から徒歩乗船に対しては廃止された。
 
2008年5月、稚内港フェリーターミナルが北埠頭から、中央埠頭に移された。
2014年3月、利尻島鴛泊港で、バリアフリー化の一環であるボーディングブリッジが供用開始され、2015年には香深港、稚内港、沓形港の4港すべてでボーディングブリッジが供用開始された。
 
※1)ニューヨークからアンカレッジ経由でソウルの金浦国際空港に向かっていた大韓航空007便が飛行コースを外れ、冷戦時代のソビエト連邦領空を侵犯、ソ連防空軍に撃墜され樺太島の南西にあるモネロン島(海馬島/トドモシリ)冲で日本人28名を含む乗員、乗客269名が犠牲になった事件。
※2)2007年3月をもってJR北海道との連絡運輸が廃止された。
 
(最終更新;2024年6月)

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Comments

私は日本の離島を訪ねたことがありませんが、北海道の荒海には昔の1000トン級のフェリーではキツイ航海だったのでしょうね。近年の5000トン級以上だと何となく安心ですね、根拠は無いのですが。船の安定性は船の大きさには関係無く、スタビライザーの設計技術の巧拙なんですかねー?

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