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June.19.2016

地球一周の夢に向けて-14

大航海時代がもたらしたもの、それは世界がひとつの地図に描かれるようになったことでありました!

1海里(nautical mile)が1.852kmであることは知られておりますが、では何故1.852kmなのでしょうか?

地球を一周すると約4万km、いや、地球の子午線全周長を4千万分の1にした長さがメートルであり、一周は360度だから緯度の1度を60分とする(60進法)と、40,000÷(360×60)=1.852kmであり、つまり緯度の1分≒1海里なわけです。
1ノットは1時間に1海里(=緯度1分)進む速さの単位です。

航海において計画したとおりに進んでいるかどうかを知るには、先ず自分の居る場所を正確に知らなければなりません。
そこで緯度と経度の計測が必要になります。

緯度は北極星や太陽の高度を測定して求められましたが、経度は自然界に基準となるものがありませんので、人為的に定めたものが子午線(しごせん)と呼ばれるものです。
地球はほぼ24時間で1回転しており、経度は360度÷24=15度ごとに1時間の時差を生じるので、本初子午線(グリニッジ)を基準に180度の地点(つまりハワイ付近)に、日付変更線を設けたわけです。

太陽がその日最も高くなる時分秒の正確な世界時を測ることができればその地の経度を知ることができ、航海に要する正確な時計、クロノメーターはこのような過程で生まれました。

ついでに、Bridgeとは文字通り船上に掛ける橋、Nav’bridgeのことで、外輪蒸気船の時代には両舷外輪カバー上に見張台(航海当直指揮所)があり、右舷から左舷(左舷から右舷)に移動の際はいちいち甲板に降りなければならず、「面倒だから左右見張台を繋ぐ長い橋を掛けてしまえ」となったのが原型です。(笑)
暫くの間は航海船橋(Bridge)と船尾操舵所(Hood)とは別々に存在していましたが、一般商船の主流が汽船(スクリュープロペラ船)になり航海船橋兼操舵室になるとNav’Bridge & Wheel-House、いわゆる操舵室という名称が使われます。
近年は機関制御室も同居し、Bridge-Control-CenterをBridge=操舵室という場合もあります。

Logは木片、Knotはロープの結び目のことで、昔は予めわかっている距離に丸太を流したり、木片を付けた一定間隔で結び目のあるロープを水中に落とし、砂時計が落ちる間に何個出るかを記録するなどして速力を測っていました。それがLog Bookであり航海日誌の語源です。

さて、今回のクルーズではスエズ運河の通行が予定されており、POSH(Port-side-Out-word, Starboard-side-Home-wordの略)という伝えがありますが、これはスエズ運河にて客船を運航していた船社が上等客に対して実施したあるサービスが単語になったものです。
因みに今回僕はキャビン選び(位置リクエスト)をしておりません。船が好きであればどこに乗っても楽しいであろうし、絶対この場所でなきゃ駄目とかおもってしまうと、ストレスを溜め込んでしまうからです。

今回のレポートは、時差と航海速力に関する素朴な疑問がきっかけで、知り合いの商船船長よりいただいた資料をもとに、まとめました。
尚、英語のCaptainとは、各国とも海軍大佐または陸軍・空軍・海兵隊大尉のことを指すそうで、商船士官に海軍予備制度のない本邦商船船長はMasterが正しい呼称ですが、一般的敬称としてCaptainが使われているようです。

※写真∶ 荷役作業を行ってくださっているのは、その道のスペシャリスト、「相模船舶作業(株)」さんです。ピースボート スタッフではありませんよ~