December.01.2021
20世紀の光と影/ 緑なき島
世界遺産マイスター第一期生の称号を持つ片岡英夫氏からアナウンスとアドバイスをいただき、急遽長崎に行くことになりました。
奇遇にも首都圏の横須賀(神奈川県)と九州の新門司(福岡県)の間に本年7月1日に就航した2隻の大型高速フェリーは全長が222.5mに及ぶことから三菱重工業長崎造船所にて建造されたものです。
急がぬ僕は日程の調整を図るとともにプチ贅沢な時間を旅程に組み入れました。
「緑なき島」は現在でもDVDやYouTube動画で視聴が可能である、NHKが1955年11月17日に放映した端島炭鉱(軍艦島)のドキュメンタリーです。(「緑なき島」にはもうひとつ、1948年11月8日に松竹が配給したセミドキュメンタリー映画があります。)
近年、坑内の映像は小ヤマであり端島炭鉱ではないと、元島民の証言や残された資料から、矛盾が検証され物議を醸しています。なぜなら、この記録映像は世界中に拡散し、軍艦島を思い描く基となってしまったからです。
いっぽう、戦後外国人労働者が一斉帰国させられ、戦前の事情を知らない復員者、戦災者、引揚者などが多数採用されました。さらに1964年の坑道自然発火事件により人口の急激な減少があり、新規採用には待遇の大幅な改善がはかられました。これらのことから、印象的なイベントとして語られることはすべての元住民が体験しているわけではなく、歴史的に軍艦島について語ることを困難にしています。
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