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December.22.2014

Special Christmas on AsukaⅡ

今年は我が国のクルーズ元年と言われた1989年のふじ丸誕生から25年目に当たります。
日本のクルーズは、この25年間でどのように変遷したのでしょうか?

昨日の乗船がもし英国のどこかの港であったなら、乗船客用に専用のスペースが設けられており、十分な椅子とテーブルが用意されていたことでしょう。
残念ながら港湾関係者はあの広い大さん橋のターミナルをクルーズ客のため十分活用しているとは思えません。

Sushi-UMIHIKO一昔前のクルーズはサービスの選択肢がなく、食事は全ての人が同じ場所で、ビストロやハンバーガーグリルなどのサブレストランもありませんでした。
現在、Main dishesは数種類から選ぶことができ、軽食にもChristmas限定のwreath(リース)を添えたスペシャルなチキンバーガーが登場するなど、季節感が盛り込まれています。
飛鳥には就航したときから有料の寿司レストラン「海彦」が設けられており、リドカフェがありました。

ふじ丸やにっぽん丸(改装前)は広いウッドデッキを持っており、デッキランチも盛んに催されました。
その頃は外国船との競争がなく、各社とも毎年ほぼ同じコースで日本各地を回っていればよかったのです。

さて、最近10年はというと、Newにっぽん丸の就航した2010年以降、プレミアム感のあるクルーズが増えたのではないでしょうか?

飛鳥Ⅱは昨日横浜を出航し、8時頃清水港に入港、日の出埠頭5号岸壁に左舷着岸しております。
W乗船(2つのクルーズを一定期間内に連続して乗船すること)すると、リピーター割引が即適用されます。
大相撲クルーズとは対照的に船内のイベントは少なめで、昨晩はビスタラウンジでプロジェクションマッピングを観賞(19時~23時30分の間、15分間隔で5分間上映)したり、寿司「海彦」での贅沢な時間を過ごしました。
日本的であるのは、お酒を注文すると前菜にあたる「お通し」が付いてきます。
お通しとはお客さまをお通しすること、厨房にお通ししたことを知らせることなど諸説あるようですが、先ずは飲み物を決めて食前酒から始まるのは会席料理の流れもフランス料理のコースも会話と期待を膨らませるという点で共通しています。

一方で、PREGOで目にしたご老人は、1人だけのテーブルでちょっと寂しそうにも見えました。
もともと日本ではオフィサーやエンターティナーが食事に同席するということは限られておりましたが、メインダイニングがメインではなくなると、最近は海外でも見かけることが少なくなりました。(我が家のクルーズがここまで続いたのは、最初のクルーズでCaptain’s tableに招待されたのも一因であろう。)

清水では、1974年ポーランドで建造され、地中海やエーゲ海で社交界の舞台として活躍し、指揮者カラヤン、イタリアの実業家フェラーリ、女優エリザベス・テーラーなどが乗船した2本マスト、スクーナー型の帆船「オーシャン プリンセス(232.41t)」に乗り換え、湾内をクルージングしました。
定員141名に対し37名での貸し切り、木をふんだんに使ったクラシカルな船体は飛鳥Ⅱとは違った趣があり、スペシャル度満点のクルーズでした。

ドレスコードは2日間ともインフォーマル、ここ数年はシンプルなダークスーツに明るめのタイやシャツを好んでアクセントに加えています。
昼間は前述の如く野外活動を意識して、The North Faceのtravel jacketをベースに赤X白のcasual シャツと同系のparkaをインナーとして組み合わせ、首もとにDieselのgradation border scarfを巻きました。Nudie jeansと足元に同じくDieselのスリッポンを履き、ドレスコード適用時間帯とは正反対のメリハリの効いたコーディネートにしました。

船客が寄港地の観光を楽しんでいる間に、タレント、コメディアン、歌手、俳優、司会など多方面でご活躍のMr.堺 正章さんが乗船しました。
ファッションはいわゆる横並びではなく、パーティでは「自分らしさを追求して個性を表現するこだわりが重要」と、装いを楽しまれる様子を記事で拝見したことはありますが、飛鳥Ⅱ乗客のきちんとしたドレスコードに感銘を受けたようで、2回目のステージ※1)では写真撮影OKのサプライズがあり、ポイントは右側であることもしっかりアピール(笑)しました。
選曲は「ルート66」、「さらば恋人」、「ダニーボーイ」など、「Alexander’s Ragtime Band」(世紀の楽団)では観客の一人をステージに上げ、コミカルに共演をleadしてDom Perignon2004をpresent、「街の灯り」に続き、Finaleは飛ぶことを意味する「ボラーレ」で締めくくりました。

飛鳥ⅡのTheaterは2階席がなく、扇状に広がり程よい距離感である一方、エンターテイナーはあらゆる位置から見られることになります。
僅か45分のShow time(のはずが、僕は時計を持ちませんでしたが実際は1時間くらいだったようです。)ですが、流石一流のエンターテイナーであり人を飽きさせることがなく、細かいしぐさに至るまで丁寧で、歳を重ねることのかっこ良さが伝わってきました。

Ocean Princess


※1)

December.11.2014

大相撲クルーズ/ 2日目

AsukaⅡ(飛鳥Ⅱ)Category A 1017朝6時相模湾、終日航海であるが天候は良くないため、水平線の太陽を探しに走り回ることもなく、まずはジャグジーで心身をさっぱりする。
日本船らしく、タブのお湯の溜まりが早い。
日本船は和食が食べられるからいいねとはよく言われるが、ルームサービスもまた世界の客船でこれ程手が込み見事な食器に彩られたBreakfastは無いだろうというくらい素晴らしい。
ふとデスクに目を向けると、「A Style」という名の船内誌(季刊)ができたようだ。(全キャビンにあるのかは調べておりません。)

午前9時よりギャラクシーラウンジで大相撲文化講座が始まり、櫓(やぐら)太鼓に続き髪結いの実演や決まり手の紹介があり、45分の休憩を挟んでからのセミナーではNHK大相撲ジャーナル編集長の緒方喜治氏(NHK元アナウンサー)が司会を務め、大相撲の今と昔や見所を解説、行司の式守錦太夫氏、美男呼び出しとして人気の高い利樹之丞氏を交え、読み上げにまつわる裏方話などで突っ込んだトークがありおもしろかった。

ただ、ふたつの催しの合間に荷物を置いて席を立つ方が多くおり、またデッキスポーツの幾つかが荒天で中止になったため、午後の親方トークショーでは開場前の早い時間から列を成し、この状態はその後メインの関取スペシャルトークショーまで続くことになる。
66歳という乗船者の平均年齢を意識してではないだろうが、親方の話は、現代っ子力士を育てることに熱が入る。

Lunchはとら河豚の薄造りにふぐ唐揚げ、宮城野部屋のレシピを再現したちゃんこ鍋や北海道滝川市で生産されているという白鵬米が食欲をそそったが、今日のように一日を殆どレクチャーで過ごし、運動不足に陥るとせっかくの和牛すき焼きDinnerも食欲が続かず残念なことだ。
当然海彦の寿司も夜食もパスする。(笑)
飛鳥Ⅱの功罪は、PREGOに於いてDinner timeにBeer(EBISU Asuka Cruise まろやか熟成 生)を無料提供しており、食前にビールという独自文化を生み出してしまったことであろう。

ディナー後(2nd シーティングの方はディナー前)に行われた関取のトークショーでは、勢関が船酔いを体験していたことがネタとなり、カラオケを披露、豊ノ島関が得意とするものまねで場を盛り上げるなどしたが、勉強熱心な白鵬関はクルーズの楽しさを知るとともに情報を収集、「今度はもっと大きな船に乗ります」と爆弾発言が飛び出し、関係者を慌てさせたことだろう。
活動的な若い関取陣はプライベートな時間でも積極的にクルーズを楽しんでおり、好印象を与えた。

深夜のMariners Clubへ、どの船もそうであるが有料の施設はそこそこ空いており、Laguna Trioの演奏を聞きながらクリスマス カクテルのHolly Nightをいただき過ごした短い時間が一番優雅で船旅らしかったかも知れない。

欧米では人気の高いカルチャークルーズは日本人には理解が難しいことが多いが、現在の相撲は天覧相撲により文化が継承されたものであり、このようなカルチャークルーズは多くの人に喜ばれるだろう。

December.11.2014

大相撲クルーズ/ 1日目

にっぽん丸の客室数は202室、これに対し飛鳥Ⅱの客室数は436室あり、陸上の場合、超高級にランクインされるホテルの客室数は200室程度かそれ以下と言われているから、飛鳥Ⅱは特別な存在である。

何が人々を飛鳥Ⅱに惹きつけるのか、結して安くないクルーズ料金を払って人々が集まるのは、自分へのご褒美として成功者の仲間入りを果たしたい願望であろうか、それとも今はまだ成功してると言えないが、成功への手掛かりを求め、非現実的な世界を体験したいからであろうか。
ただの船好きとしてはどちらでもいいことであり、幸いにも自室のベランダから今日は飛鳥Ⅱ横浜港出航300回目の記念セレモニーを見ることができる。

乗船してすぐリドグリルへ行き腹を満たし、キャビンに戻り急いでRICCARDIの栓を抜き、セレモニーを見たあとは避難訓練がありセイルアウェイはパス、続いて5デッキアスカプラザで関取による鏡開きが始まるため車椅子が通行できるうちに移動した。
何故なら、避難訓練は7デッキプロムナードで行われたが、車椅子用スロープは後方しかなく、集合するときだけ訓練の一貫なのかボートステーションへ誘導され、終了すると人々を掻き分けスロープを戻らねばならなかった。
以前、避難訓練で風邪を引いたという話を読んだことあり、暖かくして集合するのが基本ではあるが配慮も足りない。
今まで最も合理的であると感じた避難訓練の手順は、1)屋内に集合スペースがあり決められた集合場所で点呼と説明を行い、2)その後各々の使用する救命艇に移動し目で確認する方法である。
プロムナードに溢れんばかりの人(750名)を滞留させるよりスマートではあるとおもうが、飛鳥Ⅱにはプロムナードの周囲に屋内集合スペースがない。

運良く鏡開きのポジションが横綱の側であったため、白鵬関より竹勺を使って、升に注いでもらった日本酒でクルーズの幕開けを祝った。
欧米から来たChristmasと日本の伝統芸能「相撲」、このアスカプラザをはじめ、このあと船内各所で不思議な光景を目にすることになる。(笑)
今晩のショーは「ホワイトクリスマス」、その後関取によるプレゼント抽選会が行われた。

※ 飛鳥Ⅱのパームコートでハープを弾く彫刻の作者、富永直樹氏は、この船が建造された長崎県長崎市のお生まれです。

December.10.2014

祝 飛鳥Ⅱ横浜港出航300回

何れ程のクルーズ歴があっても、それが飛鳥Ⅱでなければ飛鳥Ⅱをリピートする人々からは価値のないものに等しいであろう。
飛鳥Ⅱに乗船することは、いつ頃からか定かではないが、人生の成功の証に例えられるようになった。
もっともショートクルーズが精一杯の小生には背伸びした船旅であるが、他船に乗っても飛鳥Ⅱに乗船したことを自慢する人が多いのはおもしろい。

夢のようなセレブが揃う豪華客船は既に存在しないにせよ、飛鳥Ⅱが自らプレミアムと称するクルーズのひとつが、財団法人日本相撲協会とのコラボレーションによる日本の国技をテーマにした「大相撲クルーズ」であり、およそ2週間前の九州場所で第48代横綱、大鵬と並ぶ32回目の優勝を成し遂げた第69代横綱、白鵬関を始めとする豪華メンバーと至近距離で接することのできる旅なんてクルーズ以外にあり得ないであろう。

本クルーズは飛鳥Ⅱ横浜港出航300回目に当たり、大さん橋国際客船ターミナル屋上で中村大輔船長、白鵬関、稀勢の里関、勢関、豊の島関らが出席した出航セレモニーがサプライズされ、また日本外航客船協会のクルーズ オブ ザ イヤー(2014)で優秀賞に選ばれたことは喜ばしいが、乗船前に朝稽古を見学するなどのオプショナルツアーは、足の悪い人は遠慮するようにとのご案内により、母を連れて参加することが困難と判断せざるを得なかったことは悔やまれる。

中村大輔船長は飛鳥通算8代目船長、クリスタル ハーモニー(現飛鳥Ⅱ)の誕生にはプロジェクトの一員として関わってきたという人物である。
mireaに本年1月17日掲載されたインタビューでは、男性はダークスーツ1着用意すればOKと語っており、やはり世界を知っている人はタキシードの良し悪しよりその人なりを見ているのだと感じた。(笑)

大きなケースを宅配でキャビンに送り、身一つで港に行くのもひとつの方法ではあるが、リムジンハイヤーで大さん橋ターミナルに乗り付けるのも悪くない。
但し、何故か日本船のときにはポーターがおらず、相変わらずスタッフが気配りして客の荷物を運ぶことはしない。(この点に関しては最近のにっぽん丸のスタッフはよく気配りしています。)
乗船の手際が悪いことは今に始まったことではないが、キャビン番号によっては普通に手続きしたほうが早いにも関わらず確認することなく車椅子利用者ということで長い列に並ばされ、しかも私の母を世話した係は、別の係がこちらを無視して中途で連れ去ってしまい、唖然とした。