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March.12.2012

綴章

2011年夏~2月8日を迎えるまで

Foyer今年(2011年)はノルウェーの探検家、アムンゼンが南極点に到達してから百年になります。
観光を目的とした南極とその地域の訪問者は2007/2008シーズンにおける約46,000人をピークに今シーズンは33,824人でしたが(International Association of Antarctica Tour Operators発表)、これは南極と環境への脅威に対する人間の影響が指摘されており、規制が強化されコスト上昇が避けられないことと、相反し経済が冷え込んでいるためであると考えられます。
2007年11月23日、アルゼンチン南方の南極海で発生したM/V Explorer(2,398t)の事故は南極海やその沿岸地域に環境破壊をもたらし、2009年に採択された南極条約の改正では、定員500名を超える観光船および重質重油と中質重油(heavy and intermediate fuel oils)を使用若しくは積載する船の航行を禁止するに至りました。
MARPOL条約(船舶の航行や事故による海洋汚染を防止することを目的とした国際条約)に於いても南極地域を航行する船舶の重質油使用および運搬を規制、同時に米国沿岸における窒素酸化物および硫黄酸化物の放出規制もこの8月1日より発効し、Star Princess(109,000 GT)などの大型クルーズ客船による南極海域(南緯60°以南の海域)の航行は難しくなりました。
 
Compagnie des Iles du Ponantは1988年に設立されたフランスのクルーズ会社で、現在は世界第3位のコンテナ運送企業CMA CGMのグループ企業のひとつです。
2010年に就航のLe Boreal、そして今年就航のL’Australの2隻のラクシュアリーな客船は、極地航行できる丈夫な船体にバリアフリー構造を取り入れた画期的な新造船です。
Prestige Stateroom全長約142m、総トン数10,700tの船体はデッキ数を押さえ、全客室の9割以上にプライベートバルコニーを備えております。
現在入手可能な最も環境に優しい技術が装備され、フラットなプラットホームや上陸用ゾディアックボートを設備、ヨーロッパの人の好むStylish、LuxuriousなYacht styleの客船はEuropean Cruiser Association (EUCRAS)においてBest New ship of the Year 2010(Le Boreal)に選ばれました。
 
南極は私たちの住んでいる北半球からは赤道を越えた対極に位置し、南極上陸を掲げるクルーズの多くは南極半島をDestinationとし、日本から見て地球の裏側に当たるSouth AmericaのUshuaia(ウシュアイア)を拠点としています。
BOCAATL(アトランタ)など米国の都市を経由してのNRT-EZE(=Buenos Aires Ezeiza International Airport)のフライトは、乗り継ぎ時間を含め所要28時間くらい(直線距離約18,300km)、ESTAの取得が必要になります。欧州周りの場合はCDG(パリ)経由で32時間くらい(復路は27時間)です。
日本からの旅行者はBuenos Airesで1泊し、世界最南端の街、Ushuaiaへは翌日さらに3時間半(約3,200km)フライトします。
つまり日付変更線の通過も含め、往路2泊、復路3泊がクルーズ日程にプラスされます。
 
観光を目的とした南極旅行は、今から45年前に米国のリンドブラット旅行社が世界中から52名の旅行者を募り、アルゼンチン海軍の軍艦をチャーターしたことに始まります。
Restaurant La Licorne南極に美食の船がなかったことも、small ship市場に特化したPonant cruiseにとって北米の二大グループ企業と競合しないまたとないビジネスチャンスだったに違いありません。
CMA CGMは2008年以降の世界経済危機で、運賃相場の低下・燃料の高騰・すでに発注したコンテナ船の支払いなどにより多額の債務を抱えているようで、このあたりの状況はかって昭和海運が経営の多角化の一環としてクルーズ船事業に進出し、他社とは競合しない方針のもと、おせあにっくぐれいすを建造した時に似ています。
 
我が国のクルーズ事情として平均年齢が高く、ドレーク海峡の通過やクルーズで訪れる地域とは異なる誤った情報に不安を抱かれた方もいらっしゃるようです。
南極大陸は地球上で最も寒い場所ですが、緯度と標高と海からの距離によって気温は異なり、緯度が低く、周囲を海に囲まれている南極半島は、南極の中で一番気候が穏やかであるといいます。
 
末筆ながら
本稿を塾筆するにあたり、少人数にて催行を決定してくださったS取締役、CコーディネーターのKさん、寝る間を惜しみ資料作成に励み、母を気遣ってくださったTコンダクターのOさん、A旅行社のMさん他、支援してくださった方々に、心よりお礼申し上げます。 続きを読む

March.08.2012

2月15日(水) Deception Island, Aitcho

Antarctic Fur SealSouth Shetland islands(サウス・シェトランド諸島)は南極半島の北約100km沖を半島と並行に広がる。
クルーズが終わってみると観察や写真撮影のチャンスをかなり逃していることに少し後悔もある。
何故ならぎりぎりまで島に残り最終のZodiacで本船に戻るというようなことはせず、適当に船に戻り、Main Loungeに用意された温かいSoupを飲み、RestaurantでRib eye steakをほおばっていたからだ。
母は上陸出来たことに意義があり、私もまたクルーズを楽しんだ。
Gentoo PenguinChinstrap Penguin6Deck のRestaurant”La Boussole”でのLunch Buffetはそれ自体素晴らしいものであったが、とくにDeception島では出港と重なり、後方に広がるOpen deckを持つこのRestaurantでの食事は心に残るものであった。
日本に戻って食べたステーキは脂肪が多過ぎ、アルゼンチン産の肉汁たっぷりのステーキが懐かしい。
South Elephant SealsRobert Is.(ロバート島)とGreenwich Is.(グリニッジ島)の間のAitcho Islands/Barrientos Island(アイチョウ諸島)の小さな島に私たちはChinstrap Penguins(アゴヒゲペンギン)が見れるということで上陸したが、Gentoo(ジェンツーペンギン)のルッカリーもあり、どこよりも多くのペンギンを見ることができた。
島はZodiacの着岸する東部北側と、緩やかな斜面の南のCreche(クレイシ)では泳ぎの練習をする若い個体が見られ、またWestern endではSouthern Elephant Seals(ミナミゾウアザラシ)が体を休めていた。
Creche(クレイシ)とは集団繁殖をする鳥類の中でペンギンなどにみられる集団保育の場所である。

March.06.2012

2月14日(火) Peterman Island, Paradise Bay

Bone of the Gentoo Penguin南極旅行を終え2週間が経過しようとしているが、未だにレポートをまとめることができない。
何故ならクルーズ中は考える余裕もなく次々と目に飛び込むものに夢中であったが、そこに秘められた南極からのメッセージは奥深く、我々もまた商業クルーズに参加したからには、そのメッセージを少しでも伝える義務がある。
それが例えオゾンホールによる強い紫外線と乾燥した空気により荒れた肌をフランスの人気ブランドCaritaの船上Spa※2)でtreatmentを受け蘇らせたというような些細な事であっても、見逃してはならない。
Adelie penguin再びLemaire Chennelを通り、Peterman Island(ピーターマン島)に上陸する。
Nature Guideと共に探索の機会が設けられ、漠然とIce fieldと思っていた南極にも苔の類や雪藻(スノーアルジー)と呼ばれる微生物が存在することを知る。氷を彩る雪氷藻類は夏に氷が解ける融雪期に現われ、ここにも地球環境の変化が感じられる。気温の上昇が降雪を招きコロニーを壊滅させ海氷の後退が漁場を喪失させたというBill Fraser氏の研究論文を肯定するように、ジェンツー以外のペンギンを見たいという声が漏れる。Gentoo Penguin(ジェンツーペンギン)はアデリーペンギン属の中で最も北に分布、ピーターマン島は最南端の営巣地である。
本クルーズもPeterman Islandの付近がもっとも南緯に位置していたことから、後日それを記念するCaptainのSign入り証明書が発行された。
Imperial Shag玄武岩質のdyke(地層を垂直かそれに近い高角で貫く板状の岩体のこと)にアデリーペンギンのコロニーを発見、Nature Guideはその隣で一見ペンギンと見間違うキバナウの巣に注目した。親が嘴(くちばし)にくわえた餌を持ち帰り、雛に与える瞬間が見れるかもしれないからだ。
明日はSouth Shetland islands(サウス・シェトランド諸島)を巡り南極収束線に向かうため、南極半島への上陸は今日が最後になる。
Valentine’s dayにふさわしく、南極半島に於いて最も美しいといわれるParadise Bay(パラダイスベイ)に着いたのは夕刻を回り、母と下船したのは19時頃であった。 m.s. Le BoréalParadise Bay12日の下船を見送った母もこれで念願の南極大陸への上陸を果たし、Le Borealの全ての乗客が南極大陸に足跡を記したことになる。
誰が望んだか雪が散らつき始め、本船に戻るZodiacではChampagneが振る舞われた。
カメラの演出のためであることは疑う余地もないが、なかなか気が利いているではないか。
 
※2)Spaは予約制であるが、上陸の合間を利用し予約した。
料金はボディtreatmentとフェイシャルの1時間コースで90EURO、リーズナブルである。
チップは15%程度を現金で渡すのがフランスの習慣であるらしい。
サウナを含むプログラムを選択した場合は、営業時間内の予め予約された時間までにサウナ(無料)を利用し、次のステップ(treatment)に移る。 続きを読む

March.03.2012

2月13日(月) Port Charcot, Port Lockroy

Lemaire ChannelLemaire Chennel(ルメール海峡)は西南極半島とBooth Island(ブース島)の間の全長約7マイル(11.2km)、幅が5,250フィート(約1,600m)の非常に狭い水路である。風光明媚であるが断崖を崩れ落ちた氷河などが海峡に流れ込み、最も狭い地点では幅が700mともそれ以下とも伝えられ、氷の状態によっては通行不能となる難所である。
Port CharcotやPeterman Islandを目指す船はこのLemaire Chennelを通行(平均7knot)するために、スケジュールはしばしば変更される。
Port Charcot(ポートシャルコー)は西南極半島に沿って、Lemaire Chennelの西側を構成するBooth Island(ブース島)の西側にある小さな入り江である。
島はGentoo Penguin(ジェンツーペンギン)の営巣地であるが、他の島から迷い込んだAdelie penguin(アデリーペンギン)も確認できた。入り江には大小様々な氷山が流れ着くことからこれらをウォッチングするZodiac Cruiseは欠かせない。
Whale bonePort Lockroy午後はPort Lockroy(ポートロックロイ)に寄港、1962年までイギリスの基地として使われていた建物は南極条約に基づく記念物に指定され、今はイギリスの南極歴史遺産トラストが博物館や郵便局として運営して収益を史跡の改修に充てている。唯一南極を訪れたことを示すスタンプを押した郵便物が出せることからUshuaia(ウシュアイア)出港後間もない頃より寄港日時が予告されていた。(この届出と天候に恵まれたことが、のちにLemaire海峡を2往復することに繋がった。)
Weddell SealsPort Lockroy(Goudier島)の上陸は一度に65人以下、45分間という制限があることから、Zodiac Cruiseではペンギンのコロニーやナガスクジラの骨(Wiencke島)なども見学した。一際目を引く鯨の骨格は、冬に吹き飛ばされ離れてしまったものを毎年夏に再構築しているらしい。Expedition teamは氷山の下にアザラシの群れを発見したようだ。